Webデザインで参考になった本「けっきょく、よはく」そう!余白ってホントに大切…
以前仕事でEC運営をしていた時、毎週コンテンツを企画、素材を制作、ページをアップしてメルマガを配信していました。
毎週新しいものを生み続けるのはとても大変でしたが、「これは修行!」と必死で素材を作っていました。最初は新鮮なのでアイディアが湧いてきて、無我夢中で作っていたのですが、ある程度自由に作れるようになると、今度はデザインの方向性が全く思い浮かばなかったり、作っている途中で行き詰まってしまうことがよくありました。
「テーマに沿ったデザインが難しい…なにをベースに作ったらいいんだろう」「スポーティーな印象にならない。もっとかっこいいバナーにしたいけど、どうやって??」
デザインがうまくいかない時、私は仕事でもプライベートでも頼りなる友人に相談していました。彼女は同じ職場のマーケティング部で働く年下の先輩で、おしゃれでお仕事バリバリの頼りになる彼女のアドバイスはいつも簡潔明解。その日もどうにもならず、いつも通り相談したことを覚えています。
「キャンペーン用に3種類バナーを作ってみたんだけど、どう思う?自分で言うのもだけどどれもイマイチ。ユーザーがクリックしたくなるようなバナーに思えないのはどうしてだろう。。」
どこをどう直したらという視点でダメ出しをもらえるものとすっかり思いこんでいたのですが、彼女の回答は意外でした。
「これがいいと思う。」
「このデザインのままでいいと思う。シンプルでとてもいい。」
私が5分くらいで仕上げたバナーを選んで言いました。
そのバナーは、画像とテキストを並べただけのとてもシンプルなデザインで、要素の選択はいいのかもしれない、でも何か足りない気がしていました。インパクトに欠けていて、ユーザーの目に留まらないんじゃないか。でも欠けているものは何?配置がよくない?フォントを変更すべき?
「何か足りなくない?テキストが少なすぎて何のバナーかわからなくない?」と聞く私に、いまだにこの時の言葉を思い出すのですが、彼女はいいました。
「それでいい。余白も、デザイン。」
「デザインって、実は引き算が難しい!」
私には目からうろこでした。そうなんだー…
最終的にこの時のデザインはアドバイスをもらった通り、テキストのバランスを調整しただけでそのまま使用しました。ページに埋もれることなく、確かに存在感があるし、バナーの内容は画像を見るだけで想像できる。リサイズもしやすいデザインで、イメージの統一感は抜群。今見てもシンプルでいいデザインだったのかもしれないと気に入っています。
それから数年、相変わらずデザインに迷って本屋をウロウロしてネタを物色していたら、この本に出逢いました。思わずこのエピソードを思い出してしまうタイトルでした。
けっきょく、よはく。
ぺらぺら立ち読みをしてみたら、おもしろい。後輩と先輩デザイナーとの掛け合いで、ダメなデザインと良いデザイン例を見開きの左ページと右ページで見せてくれる。どうして惹かれるデザインじゃないのか、その理由が素直に腑に落ちる気持ちよさを感じました。
家でボーっとしている時、デザインに悩んでいる時、ぺらぺらとページをめくっているだけで、なるほどーと思ったり、いいアイディアが浮かんだり、私にとってはありがたい存在の本です。
デザインって、日々変わっていくトレンドを素早く吸収するために情報収集が大切だし、こういう「あ、そうだったそうだった」と自分の中の引き出しを気づかせてくれる本ってとても大切だと思います。
これと時を同じくして買ってしまった、同じ種類の「あるあるデザイン」という本についても、次回またご紹介したいと思います。